UNICEFのグローバルなデジタルトランスフォーメーションのエコシステムをコーディネートしていたとき、最もよく寄せられたのは、新しいシステムを求める声ではありませんでした。「今、どこまで進んでいるのか」という質問でした。どのパートナーが前進し、どこで停滞しているのか。先月から何が変わったのか。データは、ほとんどの場合すでに存在していました。しかし、それを確認するには、フィルターの使い方を誰も覚えていないダッシュボードを操作するか、スプレッドシートの内容を理解している唯一の同僚にメールを送る必要がありました。
Model Context Protocol、略してMCPは、その質問への答えを得るまでの道筋を変えます。MCPがあれば、プログラムマネージャーはClaudeやChatGPTに普段の言葉で質問し、モデルが学習時に記憶した情報ではなく、プログラムの最新データに基づく回答を得られます。このガイドでは、MCPの概要と仕組み、プログラム担当チームができること、接続する前に確認すべき注意点を説明します。
Model Context Protocol(MCP)とは?
MCPは、情報を保存しているソフトウェアとAIアシスタントを連携させるためのオープン標準です。Anthropicは2024年11月、ツールの組み合わせごとに個別の連携を開発する代わりに、AIシステムがデータソースと安全に双方向で接続できるようにするため、MCPを公開しました [1]。
共通の接続プラグのようなものだと考えてください。MCPが登場する前は、アシスタントをプログラム管理システムにつなぐには、そのアシスタントとシステム専用のコードを誰かが書き、どちらかが変わるたびに書き直す必要がありました。MCPでは、システム側でMCPサーバーを1つ公開すれば、MCPに対応するどのアシスタントでも利用できます。
もはや、1社だけのプロジェクトではありません。2025年12月、AnthropicはMCPをAgentic AI Foundationに寄贈しました。これはBlockおよびOpenAIと共同で設立した、Linux Foundation傘下の基金です。その時点で、稼働中の公開MCPサーバーは10,000以上あり、ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot、Cursor、Visual Studio Codeがこのプロトコルを採用していました [2]。ツールを選ぶ組織にとって実務上重要なのは、単一ベンダーの開発計画に依存せずに済むという点です。
専門用語を使わずに説明するMCPの仕組み
MCPには3つの構成要素があります [3]。
- ホストは、利用するAIアプリケーションです。Claude、ChatGPT、Visual Studio Codeなどが該当します。
- クライアントは、そのアプリケーション内で、1つのサーバーへの接続を1つ維持する部分です。
- サーバーは、アシスタントが参照・実行できる範囲のルールを設けたうえで、システムをアシスタントに開放するプログラムです。
サーバーが提供するものは3種類あります [3]。ツールは、「KPI値を記録する」「プログラムのパートナーを一覧表示する」といった操作です。リソースは、文書やレコード一覧などのコンテキスト情報です。プロンプトは、よく行う作業に使う、再利用可能な指示です。
質問すると、アシスタントはサーバーが提示するツールを確認し、適切なものを選んで呼び出し、その結果から回答を作成します。回答に含まれる数値は、モデルの学習データではなく、質問した時点のシステムから取得されます。この一点こそが、プログラムの報告に携わる人にとってMCPが重要である理由です。
プログラム担当チームが依頼できること
多くのパートナーとプログラムを運営するチームにとって、役立つ質問は、すでに会議で尋ねている質問です。MCPを介してアシスタントをプログラム管理システムに接続すると、いくつかの質問の裏側では次のような処理が行われます。
| 依頼すること | アシスタントが行う処理 |
|---|---|
| 今月、進展がなかったパートナーはどこですか? | 各パートナーがプログラムのどの段階にいるかと最近の活動を読み取り、日付を比較します。 |
| 前四半期以降、能力強化プログラムはどのように推移していますか? | プログラムの推移データを読み取り、向上した点と停滞した点を要約します。 |
| 第2段階の行動計画をまだ提出していないのは誰ですか? | 各段階への移行で未完了となっている作業を読み取り、未対応の依頼があるパートナーを一覧表示します。 |
| Lakeside Youth Networkの研修を受けた理事の人数を18人と記録してください。 | 変更を準備し、何を書き込むかを正確に伝え、確認を待ちます。 |
| 進捗が停滞しているパートナーに送るリマインダーを下書きしてください。 | 読み取った情報をもとに文章を作成します。送信はユーザーが行います。 |
私の経験では、最大の利点は速さではありません。これまでダッシュボードを開いたことのなかった人たちが、質問をするようになることです。普段の言葉で尋ねるだけなら、負担がないからです。フィルターを設定したレポートを自分では作らない国別事務所の責任者でも、通話の5分前に「担当パートナーのうち、セーフガーディングへの対応が遅れているのはどこですか?」と気軽に尋ねられます。
ご自身のプログラムについても、こうした質問をしてみませんか? Advancer.Worldは、数百のパートナーが参加するプログラムを1つの成熟度グリッドで運営できます。MCPサーバーを通じて、ClaudeやChatGPTをプログラム、パートナー、KPIに接続できます(GoldおよびEnterpriseプラン)。
注意すべきこと
データを操作できるアシスタントには、ログイン権限を持つ新しい同僚と同じ配慮が必要です。MCPサーバーに接続する前に、私なら次の5点を確認します。
- ユーザーの役割で許可された操作だけを実行できること。 適切なサーバーは、システム内ですでに付与されている権限を適用します。プログラム担当者が画面上でパートナーを削除できないなら、その担当者の代理として動くアシスタントも削除できてはいけません。
- 何かを変更する前に確認を求めること。 OWASPは、2025年の大規模言語モデルを使ったアプリケーションにおける最大のリスクとして、プロンプトインジェクションを挙げています。文書やメッセージに隠されたテキストが、モデルの動作を誘導する可能性があるためです。推奨される対策には、モデルに与えるアクセス権を作業に必要な範囲に限定することや、リスクの高い操作の前に人間の承認を必須とすることが含まれます [5]。
- キーを貼り付けるのではなく、サインインすること。 MCPの認可仕様はOAuth 2.1に基づいており、クライアントにPKCEの使用を義務付けています。PKCEは、サインイン時の傍受から保護する仕組みです [4]。チャットにAPIキーを貼り付けるよう求めるサーバーには注意してください。
- データの送信先を把握すること。 パートナーの記録には個人データが含まれます。接続前に、組織のAIポリシーと、利用するアシスタントおよびプランのデータに関する規約を確認してください。
- 数値を外部に出す前に確認すること。 データは最新でも、要約を書くのはあくまでモデルです。資金提供者向けのレポートに数値を載せる前に、どのレコードを使ったのかをアシスタントに尋ね、実際に確認してください。
Advancer.WorldをClaudeやChatGPTに接続する
Advancer.Worldには、GoldおよびEnterpriseプランに含まれるMCPサーバーがあります。設定は約2分で完了し、コードを書く必要はありません。
- アシスタントで、アドレスを
https://advancer.world/mcpに設定したカスタムコネクターを追加します。ウェブ版およびデスクトップアプリ版のClaude、Claude Code、Visual Studio Code、開発者モードのChatGPTで利用できます。 - 初回接続時には、ブラウザーでAdvancerが開きます。いつものアカウントでサインインし、アクセスを許可してください。キーの作成やコピーは不要です。
- 質問してみましょう。組織内の誰でも情報を読み取れますが、パートナーの参加登録、段階上の位置の設定、KPI値や取り組みの進捗の記録、ユーザーの招待を行えるのは管理者だけです。変更の前には必ず、アシスタントが実行内容を伝え、確認を求めます。
「マイプロフィール」の「接続済みAIアプリケーション」から、いつでもアシスタントの接続を解除できます。パスワードを変更すると、すべてのアシスタントの接続が解除されます。パートナーユーザーは、現時点ではアシスタントを接続できません。ツールが対応する範囲は、Advancer.WorldのMCPページに記載されています。
よくある質問
MCPはAPIと同じですか?
いいえ。APIは、コードを書く開発者のために作られています。MCPはAIアシスタントのために作られており、サーバーが、モデルにとって読み取りや選択が可能な形式でツールを説明します。両方を提供するシステムも多くあります。Advancer.Worldには、自社システム向けのREST APIと、アシスタント向けのMCPサーバーがあります。
AIモデルはプログラムのデータから学習しますか?
それはMCPではなく、利用するアシスタントとプランによって決まります。MCPが行うのは、リクエストと回答の受け渡しだけです。提供元のデータ利用規約を確認してください。通常、ビジネス向けやエンタープライズ向けのプランには、データの取り扱い方法が明記されています。
MCPを使うには開発者が必要ですか?
すでに存在するサーバーを使うだけなら、必要ありません。アシスタントにアドレスを追加し、サインインするだけです。自社システム用に新しいMCPサーバーを構築するのは、開発者の仕事です。
どのアシスタントがMCPに対応していますか?
2025年12月までに、Claude、ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot、Cursor、Visual Studio Codeが採用していました [2]。対応するアシスタントは、各サーバーが案内しています。Advancer.Worldの対応一覧は上記をご覧ください。
まずは1つの質問から
試してみるためにAI戦略は必要ありません。プログラムについて最もよく聞かれる質問を1つ選び、アシスタントを接続して尋ねてみてください。その回答によって、情報を追いかけるための半日が節約できたなら、それが最初の活用事例です。
アシスタントが読み取れる1つのグリッドで、プログラムを運営しましょう。 段階、トピック、パートナー、KPIを1か所に集約。無料で始められます。
参考文献
- Anthropic、「Model Context Protocolの紹介」、2024年11月25日、https://www.anthropic.com/news/model-context-protocol(2026年10月閲覧)。
- Anthropic、「Model Context Protocolの寄贈とAgentic AI Foundationの設立」、2025年12月9日、https://www.anthropic.com/news/donating-the-model-context-protocol-and-establishing-of-the-agentic-ai-foundation(2026年10月閲覧)。
- Model Context Protocol、「アーキテクチャ概要」、https://modelcontextprotocol.io/docs/learn/architecture(2026年10月閲覧)。
- Model Context Protocol、「仕様2025-06-18:認可」、https://modelcontextprotocol.io/specification/2025-06-18/basic/authorization(2026年10月閲覧)。
- OWASP GenAI Security Project、「LLM01:2025 プロンプトインジェクション」、https://genai.owasp.org/llmrisk/llm01-prompt-injection/(2026年10月閲覧)。
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